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相続法の改正について(その4: 配偶者居住権①)

2019.07.12 谷井 智

今回の相続法改正では,配偶者の死亡により残された他方配偶者の生活保障の必要性が高まっているという観点から,前回ご説明した特別受益の持戻し免除の意思表示推定規定とともに,配偶者居住権(改正民法1028条~1036条)及び配偶者短期居住権(同法1037条~1041条)の規定が設けられました。今回は,配偶者居住権について説明させて頂きます。
 
配偶者居住権は,配偶者の一方が死亡した場合,残されたもう一方の配偶者が住み慣れた住居に住み続けながら,その後の生活費も確保できるようにするための制度です。例えば,夫が自宅(価値3000万円)と預金3000万円を残して亡くなった場合,妻と子ども2人が相続人とすると,法定相続分では妻は3000万円,子どもは1500万円ずつということになります。妻が自宅を相続することを希望すると,預金は受け取れない計算になりますが(法定相続分とは異なる遺産分割協議が整えば預金を受け取ることも可能です),そうすると,以後の生活費が確保できないという場合に使うことが考えられます。具体的に,自宅の価値のうち居住権が1500万円と評価されたら,妻は居住権と預金1500万円を相続し,子どもが自宅と預金1500円をそれぞれ取得するという分割方法が考えられます。
ただし,立法過程においても,配偶者居住権は相応しい事案に限って利用すべきことが前提となっており,実際にこの制度を利用するのが適切かどうかについては,慎重な考慮が必要です。
具体的な内容や注意点については,次回,お話し致します。
 
本改正の施行日は2020年4月1日となっております。
 
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