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未払残業代請求

2017.08.28 正原 大嗣

 この度,残業代(割増賃金)の計算に関して,京都弁護士会と京都地方裁判所の裁判官によって製作された割増賃金計算ソフト「きょうとソフト」が日本弁護士連合会の弁護士会員向けホームページからダウンロード可能になりました。
 このソフトは,割増賃金請求事件の審理期間が長期化する傾向にあったことから,割増賃金請求事件が適正かつ迅速に解決されることを期待して製作されました。
 このソフトを労働者,使用者及び裁判所の間で共有して訴訟等を行うことができれば,事件の迅速な解決につながると思います。
 
 もっとも,このソフトを利用するにあたっても,労働時間とは何か,割増賃金とは何かなど,労働事件に関する法律知識が求められます。
 
 ちなみに,判例上は,労働時間(労働基準法32条)とは,「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい,右の労働時間に該当するか否かは,労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かにより客観的に定まるものであって,労働契約,就業規則,労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」(最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決民集54巻3号801頁)とされています。
 例えば,実作業に入る前の準備行為(作業服の装着等)や更衣室から準備体操場までの移動時間は,労働時間と認められる場合もあります(上記最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決)。
 ただ,労働時間といえるかどうかは,業務内容によって異なり,個別具体的な判断が必要ですので残業代についてお悩みでしたら当事務所にご相談ください。
 

全国付添人経験交流集会に参加して

2017.04.03 正原 大嗣

 少し前の事ですが,平成29年2月11日,鹿児島で開催された第27回全国付添人経験交流集会に参加してきました。
 
 付添人とは,少年事件で少年の利益を守り,適正な審判や処分の決定のために活動する者のことをいいます。
 
 第27回全国付添人経験交流集会では,非行少年の立ち直りを支援している会社の代表取締役による講演や少年審判規則改正についての報告,マスコミに報道され世間の注目を集めた重大事件の報告などが行われました。
 重大事件の報告では,マスコミ対応が必要となるなど他の事件とは異なる付添人活動が必要となるという報告がありました。報告があった事件では,マスコミ対応担当の弁護士を通常の付添人活動をする弁護士に加えて別途選任したそうです。
 他方,重大事件であっても,基本的には少年の個性に応じた付添人活動をすることで少年に再非行に至らないような変化を生じさることができたという報告があり,大変興味深かったです。
 当事務所においてもマスコミで報道され世間の注目を集める事件を受任することがあるので,マスコミ対応の仕方などについても非常に参考となる内容でした。
 
 少年事件は,少年に対する働きかけの内容や保護者の協力の程度が少年の処分を決めるにあたって大きく影響してきます。
 特に少年鑑別所送致の観護措置がとられた場合には,厳しい時間制限のもとで付添人活動することが必要となりますので,お早めにご相談ください。

民法の未成年者の規定

2016.06.15 正原 大嗣

弁護士の正原です。
 
先日,大学に講義へ行かせていただきました。
消費者問題に関するテーマで,複数の弁護士が2回ずつ担当するものでした。
私が,担当したのは,消費者金融や多重債務に関する問題についてでした。
受講生のアンケートを読むと,概ね講義の内容は理解していただけたのではないかと思います。
受講生は,1年次生が多かったので,未成年者の方が多かったのではないかと思います。
 
さて,現在,民法上の成年の規定について改正の動きがあります。
 
今の民法は,「年齢20歳をもって,成年とする。」規定されています(民法4条)。
つまり,19歳以下の人は,未成年者となります。
未成年者は,未成年者取消権(民法5条2項)などが与えられているなど,法的に保護されています。
未成年者取消権とは,未成年者が法定代理人の同意を得ずに法律行為を行った場合に,一部の例外的な場合(民法5条1項ただし書きなど)を除いて,法律行為を取り消すことができるというものです。
 
この成年とする年齢を18歳に引き下げるという議論がされています。
 
これは,日本国憲法の改正手続に関する法律の附則第3条1項に「満一八年以上満二十年未満の者が年齢を定める公職選挙法,成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え,必要な法制上の措置を講ずるものとする。」と定められたことをきっかけとして,法制審議会で検討され,2009年の最終報告書においては,民法の成年年齢を18歳に引き下げるのが適当であると結論づけられたことによるものです。ただ,その最終報告書によると成年年齢引下げの時期については,若者の消費者被害の拡大のおそれなどの問題に対する施策の効果などを踏まえて,国会の判断にゆだねるのが相当であるとされています。
 
平成28年6月19日,18歳以上の人で所定の要件を充たす人が選挙権を有するとする公職選挙法が施行されます。
 
実際に18歳以上の人が選挙権を行使する機会を与えられたことでどのような影響があるのか,その結果も踏まえて,民法の成年年齢の引き下げについて検討していく必要があると思います。
 
今後の民法の改正動向に注目していく必要がありそうです。